だるろぐ

明日できることは、今日しない。

一般的な贈与循環について

繰り返された贈与の過程について - だるろぐ の続きのようなもの。

特殊な贈与循環

X と Y が贈与することを考える。互いに互いの贈与に応えていけば、贈与の循環が生じる。

G_1 (X \rightarrow Y)

G_2 (X \leftarrow Y)

G_3 (X \rightarrow Y)

G_4 (X \leftarrow Y)

このとき

G_1 = G_2 = G_3 = \ldots

つまり、互いに同じだけ与え合うとするならば、初期の純粋贈与 G_1 は循環が途切れない限り、内容は変われども、時間と空間を超え、量として保存される*1

一般的な贈与循環

そのうち贈与の循環が安定し、運良く長期にわたって維持され、G_1(最初の贈与)が忘れられる段になると、

  • G_n (X \rightarrow Y)
  • G_{n+1} (X \leftarrow Y)

「互いに与え合う」(互恵)という規範(ルール)だけがそこに残るだろう。当初、与えられることが特別なことと感じられたのに対し、互恵が継続されるとそれに慣れて与えられることが当たり前になる。すると、「与えられること」を利得として感じるのではなく、「与えられないこと」を損失と受け止めるようになる。

すなわち、このより一般的な贈与の循環において、その循環は

  • 初期贈与:G_{1} (X \rightarrow X')
  • 互恵規範:G_{n} (X \rightarrow X') \Rightarrow G_{n+1} (X \leftarrow X') (n=1,2,\ldots)

のふたつに整理することができる。

次の課題

  • 贈与にジレンマが生じる場合:互恵規範の確立と維持(組織理論におけるエージェントベースアプローチ)
  • 1対1ではなく多対多、および集団的互恵関係について(→ res publica)
  • 互恵関係の継承について(当初の当事者が、互いの了承のもとに他者へ互恵関係を「権利」として与える場合)
  • 自然との互恵関係と古代神話の英雄、宗教について
  • 贈与と4つの自由について

*1:これらが増えたり減ったりする場合に関しては、また後ほど考えることになる