『古典で読み解く現代経済』
もとがセミナー向けだからだろうか、すらすら読める。あっという間に全部読み終えてしまった。本書で挙げられているのは以下の著作。
- 既得権を考える――『国富論』
- 金融危機を考える――『資本論』
- イノベーションを考える――『リスク・不確実性・利潤』
- 大不況を考える――『雇用・利子および貨幣の一般理論』
- 自由主義を考える――『個人主義と経済秩序』
- 財政危機を考える――『資本主義と自由』
これだけの著作を「読んだ気になれる」のだからお得な本ですね。とはいえ、古典はすべて通読することで自分の自信になる部分もあるから、「読んだ気」で終わらせるのも勿体無いと思うけど。
ちなみに、僕は『国富論』『資本論』『資本主義と自由』は読んだ。『一般理論』は気になったところを断片だけ、ハイエクは好きだったけど『個人主義と経済秩序』は読んだことがない。その立場で本書の内容が正しいかと言われると、まぁ、だいたいあってる気がするが、キャッチーな言葉を並べて焦点をぼかし、なんとなく分かったような、ちょっと頭良くなったような気分にさせられる所があって、そこは気になるというのが正直な感想。
ただ、正しいけどつまらなくて、誰にも振り返られない本と、多少間違いは含んでいても楽しくて、読んだ人にインスピレーションを与えられる本を比べれば、後者のほうが断然いいと思う。そう、新書ならね。