だるろぐ

明日できることは、今日しない。

イリオモテヤマネコでもわかる基礎杭の打ち方

世間で話題なのでのっかってみようかと思う。

基礎杭の種類

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https://www.inoue-s.co.jp/kadai/products/pile_technical2.html より)

一口に“基礎”といってもさまざま。普通の人が思い浮かべる“基礎”といえば“直接基礎”(一軒家のベタ基礎なんかがこれ)になると思うが、ビルやマンションなどになるともっと大掛かりなものになる。

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杭の種類と適用杭径と深度 | ヒロワーク工法 web site より)

細かいことを言い出すとめんどくさいのでザックリいうと、

  • 既製杭:電信柱みたいなのをよそからもってきて打ち込む杭
  • 場所打ち杭:その場で穴を掘り、鉄筋とコンクリートを埋め込んで杭にする

という違いはあるんだけど、“支持層”と呼ばれる固い地盤まで杭をのばす点では、まぁまぁ、似たようなもんだと思う。知らんけど。

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(既製杭の施工現場(室蘭市/中島本町汚水中継ポンプ場 より)。一般的に発電機(お尻に乗っかってる四角いヤツ)を背負った“三点式杭打ち機”と“アースオーガ”を使う)

一般的に“既製杭”は小規模な現場に、“場所打ち杭”は大規模な現場に向いているので、例の物件の規模なら“場所打ち杭”のときも多い気がするけど、それは設計屋さんがさまざまな条件を勘案して決めることなので。テキトーに言えば、細い杭をたくさん打つのか、太い杭で少なく済ますかの違い。騒音規制や残土の処理など、状況にもよるだろうしね。知らんけど。

自分は“場所打ち杭”しかやったことないが、今回の工事は“既製杭”のようだ(バイトで既製杭を抜く工事の監督をしたことはある。基礎屋さんは基礎を打つだけでなく、抜くのもお仕事だったりする)。ちょっと違うけれど、まぁ、雰囲気を知ってもらうということで“場所打ち杭”について説明するやで。

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(場所打ち杭の施工現場(アイテム詳細)。“アースドリル”と呼ばれる移動式クレーンの改造版を使うアースドリル工法が多いかも)

場所打ち杭のレシピ

ここでは“アースドリル工法”というのをとりあげるが、基本的には ①穴掘って、②鉄筋カゴをつっこんで、③コンクリートをぶち込めば、杭の出来上がり。あとで土を掘れば、ちゃんと杭になっている、はず。

“既製杭”との違いは、①デカい径の杭ができる(直径3m弱ぐらいまではいける気がする。そんな杭をトラックで運ぶの、めんどくさいやろ!)、②長さの調節ができる(支持層に届いてないんじゃないかなーと思えば、深く掘るだけ。既製杭やとやりなかったとき面倒やろ!……あれ?)、③拡底が行える(後述)など。欠点は、泥水の管理と残土がでることかな? 知らんけど。

1. 穴掘り

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まずはちょっと素掘りして、ケーシングと呼ばれる鉄製の筒を建てる(鉛直まっすぐにね!)。

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ケーシングは割と重いので、油断してるとこうなる。アースドリルは普通の移動式クレーンとしても使える(ので、単体での施工も可能)が、重いフロント(穴を掘るための棒や回転機を備え付けてある)がついてるため、あんまり重いものは吊れない。

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次に、ベントナイトと呼ばれる薬品を混ぜた人口泥水を作り、それをケーシングに注ぎ込みながら、ドリリングバケット(ドリバケ、単にバケツと呼ばれたり)を回転させながら掘削していく。

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これがドリリングバケットさん(DB - ペンタ建機リース株式会社 より)。このこには下の方に歯と隙間がついていて、地面に押し付けてグリグリしてやると中に土がたまっていく仕組みになっている。中に土がたまったら引き揚げて、長い棒でロックをチョンと外してやると(この仕事をピンキリと言ったりする)、ドリバケがガバチョとあいて、土がもわもわーっと出てくる仕組み。ドリバケにはさまざまな径があるが、中に入れられる土の量(というより重さ?)は一緒なので、大きいほど薄い。

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ドリバケさんがゲロゲローっとした土には人口泥水が混じってるので、それにユンボが石灰を混ぜてちょっと乾かし、ダンプに積んで現場の外へ搬出してもらう(残土搬出)。アースドリル、ピンキリ、ユンボ、ダンプの共同作業が割と大事。

ちなみに、写真に写っている四角いのは水槽(クレーンが倒れてる画像では赤、下の画像では青いの)。このなかに入っているのが人口泥水で、これには ①穴が空っぽだったら崩れるので入れておく ② 穴の壁を粘土みたいにちょっと硬くして崩れないようにする といった役割がある。人口泥水は使いまわしなので、泥水層 → 杭へ供給 → 杭からポンプで抜き出す → 沈砂層(余計な砂を落とす) → 泥水層がうまく循環するように、ホースやポンプ、ポンプを動かす発電機・ケーブル・分電盤なんかを繋げる必要がある。また、だれもいなくても一定の水位になったら止水できるよう、浮きスイッチ(オタマジャクシっぽい)なんかを仕込んだりする必要もある。これを間違えると、現場の外に泥水をダバーッと流しちゃって大目玉を食う……だけだったらいいんだけど、補償が大変で軽く死ねる。

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水槽の数は、杭の体積(直径×長さ)と同時に打つ杭の本数 などから必要な数を算出。現場は狭いので、水槽を2段、3段に積むことも多いが、これをうまく、きっちり配置できるかでその業者のだいたいの腕がわかるという。そのほかにも重機の旋回半径やユンボの座る場所、ダンプの導線も考えなきゃいけないので、さながら現場はパズル。このパズルは現場に入る前に図面とにらめっこして解いておくのだけど、ほんとうはベテランのオペレーター(重機の操縦をする人。現場を仕切るのもだいたいオペがやる。元請け? 現場管理人?……知らない子ですね)に聞くのが一番早い。経験と勘で、パパッと計算してくれる。

1.5 スライム処理と拡底

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支持層に到達すると、掘削は完了。でも、最後にちょっとした仕上げを行うことがある。

一つはスライム処理。穴の底にはスライムと呼ばれるヘドロがたまるので、“スライムクリーナー”と呼ばれる機械でそれをとる。

TOEI LIGHT(トーエイライト) 検尺ロープ巻取器100 G-954

TOEI LIGHT(トーエイライト) 検尺ロープ巻取器100 G-954

先っぽに重りのついた検尺ロープ(穴の深さを測るのに使う)で穴の底を叩くと、ぶよんぶよんしてたのがカッチカッチになって気持ちいい。ぶよんぶよんの上に立ってる杭よりも、カッチカッチのうえに立ってる杭のほうがええやろ?

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もう一つは、拡底処理。これは文字通り穴の底を広げるもので、ドリバケを油圧でぐぬぬーと開く拡底バケツに付け替えて、杭の先端が円錐形になるように掘り広げる。杭の出来上がりをみるといかにも踏ん張りがきいて地震に強そうだけど、むしろ杭の径を細くすることで資材が節約できるのが大きいみたいやね。最近(と言ってもだいぶ前やけど)やと二倍拡底というのもある。

でも、拡底は時間がかかることも(拡底バケツが開かない)。だからというわけか、なかには拡底バケツをちゃぷんと穴に漬けるだけの業者もいるみたいで、さっさと死んでほしいですね。

2. 鉄筋の建て込み

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お次は鉄筋カゴの建て込み。鉄筋カゴはアースドリルで釣ることもあるけど(ユンボにも手伝ってもらう)、相伴のクレーンがいてくれると楽ちん。

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みんなで集まって鉄筋カゴの継ぎ目を番線でくくる。“しの”という棒でクリクリッと丸く括るのだけど、これだけでかなりの重さに耐えるっぽい。ただし、うまい人がやれば。自分はあんまりうまくないし、遅い。

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ちなみに、鉄筋カゴを作るのは鉄筋屋さんのお仕事。現場のなかで作ったり、もしくは外で作ってトラックで運んでくる。あんまり夏場にはやりたくない仕事やの……。

3. コンクリートの打設

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鉄筋カゴを建て込んだら、トレミー管とよばれるコンクリート打設用の管を挿入。トレミー管には何種類かの長さがあり、それを繋いで底に届くようにする(36m ならば 5m×4+4m×4 とか)。コンクリートを上からどばーっと流すと、人口泥水と混じってぐちゃぐちゃになるので、底の方から入れなきゃならない。

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(生コンの打設。説明を端折ったけど、赤いデカい機械は全旋回ジャッキで、ケーシングなんかをぐりぐり突っ込むヤツ。障害(地中に埋まってる古い杭など)を取り除く工事で利用する)

ここからは時間の勝負――ってほどでもないけど、コンクリートさんが固まっちゃっても困るやろし、手際よくやらなければならない。生コン車がひっきりなしにやってくるのでその誘導、トレミー管の上から生コンを投入、生コンを投入した分だけ人口泥水の水位が上がるのでポンプで水槽へ回収、生コンにトレミー管が埋まると抜けなくなるので、生コンを入れるのに応じてトレミー管を引き上げ、切断できるなら切断。生コンでドロドロになったトレミー管の洗浄もしなきゃいけないので、割と忙しい。

基礎工はまとまった休憩時間が定期的にとれるわけじゃないので、土方の中ではだいぶブラックなうちに入るのではないだろうか。

ちなみに、生コン車が何台必要になるかは杭の体積から計算できる。ちゃんと設計通り穴が掘れていれば、台数がピッタリ合うはず。たまに下の方の孔壁がくずれて生コンを多めに食うこともあるかもしれないが、生コン車が余るという事態は基本的には起こりえない。なので、設計深度まで掘らないというのは場所打ちではあまりないかなって感じ(拡底のちょろまかしは、バケツが開かない分深めに掘れば帳尻合わせができるかもしれないけど、管理者が自分で深さを測ればわかる)。また、支持層まで到達しているかは、掘っているオペレーターなら感触みたいなのでわかるっぽい。知らんけど。

4. 完成!

生コンを打設したら、ケーシングを抜いてだいたい終わり。土を埋めて放っておく。

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あとで土を掘ると(根切り)こんな感じで杭の頭が出てくるようですが(ほんとはもっとぐちゃぐちゃなので、処理してもらう)、穴を掘った当人たちがこれを見る機会はあまりないかも。機械を出して次の現場へ旅立っているパターンが多いかな。知らんけど。

余談

だいたいこのサイクルを1日2回とか、3日で2回とか、まぁ、いろんなサイクルでやる。あとは機材の搬入・搬出、組み立て、現場の配置換えなんかがあるぐらいで、基本的にはワンパターンな日々。何年もやる現場もあるが、だいたいは1か月弱~数か月でひと現場って感じなんじゃないだろうか。

生コンを打ち始めたら最後までやらなきゃいけないので、サービス残業あり。遠くの現場まで行くときは朝早く起きなきゃいけないし、帰りが遅くなるのでしんどい(宿泊費出たらうれしいんやけどなー)。基本毎日泥だらけだし、力がいるときも少なくないので大変だけど、慣れればそのあたりはうまくやれるようになる。実際、若い人間より歳食った人間のほうが要領よく動けるケースが少なくない。

  • デベロッパーのひととか、ほとんど見たことないんやけど。試験杭(最初に打つ杭)のときに背広の人はくるかもやが
  • 基礎工事では、何かするたんびに黒板もって写真を撮る。目に見えないところでやる仕事なので、そういうのは大事。逆に、それをちょろまかすと今回の事件のようになる。どんな仕事でも最低限のプライドはないと……ない人は社会に出てくんなって感じやな
  • ○五基礎(伏せてない!)っていうところは、まじめでいい仕事をするらしい。たまにやらかしてるらしいけど
  • アースドリルを運転したい人は「車両系建設機械(基礎工事用)運転技能講習」をとること。モノを吊る際は移動式クレーン免許も必要(普通の現場は両方求められる)。わいは移動式クレーン免許しかないから、モノを吊るときしかのったことがない
  • 基礎工は下回りでも玉掛け(クレーンに荷物をかける人、1日で資格とれる)からガス、アーク溶接までできるのが望ましいけど、たぶんそのうち教えてもらえる
  • 使った写真は Google 写真検索でひろった(おおきにやで)。みんな案外、工事の写真撮るんやね、自分のは一枚も残ってなかったわ
  • 職業としてお勧めするかっていうと、んー、土曜日が休みじゃないのは若い人にはしんどいやろなと思う。お金はまぁまぁいいと思う。
  • とはいえ、基礎工事やってたのは10年以上前なので(しかも、現場に出ることはあったが、基本鉄筋運搬や事務経理などの裏方仕事がメイン)、今のことはあんまり知らない。たぶんあんまり変わってない気がするけど
  • ウソ書いてたらすまんやで
  • イリオモテヤマネコの実物みてみたいマン