だるろぐ

明日できることは、今日しない。

res publica --しかし共和国は続くのです。

誰かが始めたことが、
 たとえその人の手を離れても、
  みんなの協力を得て続いて行くならば、

それは res publica(公共のモノ、共和国)と呼んでいいと、ボクは思う。逆に、たとえ公共のためという名目であっても、それが誰かに占有されていて、そのヒトが飽きたり死んだりすると失われてしまうものは、res publica とは呼び難い、と感じる。

たとえば、フリーソフトウェアは共和国と同質だ。誰かが始めて、共和的に*1維持されている。後継者不足で、今にも途絶えそうな伝統工芸は、死にゆく共和国といっていい。今でも街に息づく風習や伝統は、res publica と言える。家庭や会社は、まさに共和国だ。個人的収集物は res publica ではない。けれど、それが公開されて公共に受け継がれるなら、○×コレクションと呼ばれる res publica になり得る。

PATRES CONSCRIPTI INSIEME
(建国の父よ、新たに加わった者たちよ)*2

あなたはフィレンツェ人たちのたいへんな志操堅固さを、またそれがこのように作られた共和国を愛するがゆえであることを、間違いなくご存じでしょう。あなたのご主人の志操堅固さは、たとえ偉大極まりないとしても、束の間のモノです。なんとなれば、それは一人の人間の生涯の間しか安定できぬからです。しかし共和国は続くのです。

カヴァルカンティ『フィレンツェの歴史』

まず、誰かによって始められること。そして、一人の人間の生涯を超えて受け継がれるモノ、それが res publica と言える*3

だから、共和国を論ずる場合には、樹立のフェイズと、維持のフェイズ*4を、分けて論じなければならない。

*1:個人の力量や奉仕、集団での討議によって

*2:古代ローマで用いられた、演説の枕詞

*3:そして、それは何も国家に限らない

*4:そして終末のフェイズ