大阪の選挙について思ったこと(2)
大阪市長、大阪府知事の同日選は27日に投開票された。一騎打ちとなった市長選は、大阪維新の会代表で前府知事の橋下徹氏(42)が、民主、自民両党府連が推す現職の平松邦夫氏(63)に圧勝し、初当選した。知事選は、維新の会幹事長の松井一郎氏(47)が、民・自両党府連の支援を受けた前大阪府池田市長の倉田薫氏(63)、共産推薦の梅田章二氏(61)ら6人を大差で破り初当選。維新の会がダブル選で完勝した。市長選の投票率は60.92%で前回2007年の43.61%を17.31ポイント上回り、1971年4月(61.56%)以来40年ぶりに6割を超えた。
事前のマスコミの方どうだと、ちょっと「橋下さん、ヤバいかな?」と思っていたのだけど、フタを開けてみると20万票の大差をつけて圧勝。知事選に出馬した相棒・松井氏も大差で当選を飾るという、なんともあっけない結果だった。
個人的には平松さんでも悪くはないと思っていたのだけど、自民・民主・共産の相乗りはマズかった。「利権を死守したいがためだけに合従した守旧派のボス」という印象を受けたヒトが多かったんじゃないかな。「都構想への期待」だの「既存政党の否定」だのと言った意味付けをするマスコミも多いみたいだけど、たぶん、有権者の多くは都構想がなんなのかわかってないし、自民党や民主党を否定するために投票したのでもないと感じた。
まぁ、それについてはすでに論じた。
今日の主題はもう一つ、平松・倉田陣営が敗れたのは、以下の倉田氏の敗戦の弁に集約されているのではないか、ということだ。
「人、モノ、金、候補者の人柄。そういうものがセットになった、相当強い“選挙マシン”を作らないと、維新には勝てない気がする」
――「政策」や「党是」という言葉が出てこない。
確かに、家族、友達、町内、小さな会社などの「小さな社会」では、衆を率いる上で人柄は重要だ。けれど、社会が経済に優越している状態を「小さな社会(intra-society)」とするならば、その逆、経済が社会を凌駕する「大きな社会(inter-society)」では、むしろ経済のルールである契約――政治の世界なら党是や具体的な政策目標<マニフェスト>――が守れる能力、守る気概があるかどうかの方が、選ぶ基準としては適当だろう。その点、維新の会は組織・集団として明確に目指す政策を市民と約束し、演説でもそれを実行する気概を見せた。平松・倉田陣営にはそれがまったく欠けていた。
挙句、その反省もなしに
府内の首長選では連勝中の大阪維新の会の人気について、「まだまだバブル(泡)」と評価(同上)
と、あたかも有権者が「バブルに踊ったバカ」とでも言わんばかり。「大きな日本にある大阪市」がどうあるべきかを考えるのではなく、「小さな大阪市」を守ることに終始した平松・倉田陣営が敗れたのは、今振り返れば自然な流れだったのだと感じる。
でも、まぁ、橋下・松井陣営もようやく出発点にたったに過ぎないわけで。何があっても曲がらず、真っ直ぐに、市民・府民と約束したことを成し遂げて欲しいと思う。