『自由市場の終焉―国家資本主義とどう闘うか』
国家資本主義というのは、単純に言えば、_政治的統制と自由経済を使い分ける_やり方になるのかな。たとえば、部分的に市場主義を取り込むのだけど、経済の基礎となる資源・インフラ・金融は国家が握って、ときに政治的要請に応じてコントロールする。たとえば、中国・ロシアや中東の産油国なんかはいい例かもしれない。本書は、そんな_「国家資本主義国家の列伝」_としては楽しく読めると思う *1 。
ただ、こういう国家、ほんとうに長続きするのかな。たとえば、ジェイコブズの『統治の倫理 市場の倫理』は、このようなポリシーの混合を戒めていたように思う。それにヒントを得て、政治的・経済的×自由・統制で体制を4分して、グラフにしてみた(見づらかったら拡大してほしい)。
こうしてみると、自由経済陣営の「国家資本主義的傾向」(たとえば、金融恐慌の際に政府が収拾に乗り出す)というのと、独裁国家が経済自由主義的アプローチを取り入れて「国家資本主義化」するのは、表面上似ているようで、有り様はまったく異なると言えないだろうか。
かつてマルクスは、資本主義は行き詰って新しい体制(そのひとつとして共産主義がある)に移行すると考えたけれど、実際の資本主義国家は、時折保護主義的政策をとることはあっても、いくどとなく襲う恐慌に耐えてきた。おそらく、コレから先もそうなのだろう *2 。むしろ、国家資本主義陣営がその矛盾を解決できずに、自由主義へ移行する *3 可能性のほうが高いように思う。